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西沢千晶 - PAC公演「雨」曲目解説

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作:井上ひさし 演出:黒川逸朗 作曲:西沢千晶(全曲書き下ろし)


浮浪者たちの唱和    江戸両国橋の下で暮らす乞食、桶直し、井戸浚え、願人坊主、腕剛者、太鼓叩き、花売、男娼、そして拾い屋…。
宿無しだが一応職業(?)を持っている個性的なキャラクターばかり。
橋下で雨宿りしながら酒盛りをし、やがて酔いが回った桶直しが歌い出し、主人公「拾い屋の徳」以外の浮浪者たちによる大合唱になる。


親孝行屋の唄    浮浪者たちの唱和が終わったところに現われた謎の浮浪者「親孝行屋」。
人形を首から背負い親孝行の真似事の見せ物で稼ぐ乞食。
その親孝行屋が、故郷、山形は平畠で平畠小町と謳われた紅屋の娘おたかを歌った戯れ歌を、親孝行人形を巧みに操りながら徳に歌って聞かせる。
親孝行屋は物語の鍵を握る人物でもある。


紅花口説(前半)    紅屋の土間で主人の帰りを歓ぶ紅花百姓たちが、紅餅をつきながら、代わる代わる紅屋の五代目喜左衛門の半生をラップにして歌う。
途中から、百姓と入れ替わりに女中たちが入ってきて、団扇(うちわ)を持って舞い踊る。


紅花口説(後半)    場面は徳とおたかの寝間に変わるが、後ろで百姓たちによる紅花口説のラップが再開され、いよいよ五代目喜左衛門を襲名するクライマックスを百姓たちが代わる代わる歌い説明する。


雨乞い    二幕の幕開きから激しいサウンドと踊りでスタートする。
名前のとおり、天に雨を乞う百姓たちの歌と踊り。
百姓たちが、激しく踊り狂い、絶叫するアンサンブルで見所のひとつでもある。
百姓たちの奥で御幣(神主さんがお祓いの時に振ってるやつ)を持ってトランス状態に陥っている宮司も見物である。


芸者花虫    主人公を翻弄する陰のヒロインとも言える芸者花虫によるソロ。
舞台上では、花虫が三味線をつま弾きながら歌う。
歌詞の内容は、主人公の徳の行く末を暗示しているようで興味深い。
劇中で最もメローな曲で、花虫が再登場するシーンやカーテンコールにもインストゥルメンタル・バージョンが使われている。



コメント:

この劇では主人公の徳やおたかには全く歌うシーンがなく、純粋なミュージカルというわけではなく、一部をミュージカル仕立てにした音楽劇とでもいう構成である。
サウンドとしては、ラップや激しいビートの曲もあるが、和太鼓や三味線、琴、尺八などを取り入れて、「和」のテイストを全面に出した音作りになっている。
場面転換の効果音にも、津軽三味線や琴、琵琶、和太鼓など、「和」のサウンド一色である。


感想:

曲としては、「芸者花虫」が気に入っているが、シーンとしては冒頭の乞食たちのアンサンブルがなかなかの出来栄えだと思う。
江戸時代の乞食など、現代人には想像もつかない世界だが、なかなか見事になりきっていて見応えがある。
かなり見苦しいいでたちなのだが(もちろんわざと)、乞食たちのアンサンブルは「ミュージカルそのもの」であり、個人的には大変気に入っている。

徳やおたか、宮司(神主さん)などにもそれぞれ歌わせて、完全なミュージカル仕立てとしても面白いだろう。

例えば...
平畠藩のご重役連が集まるシーンなども、アンサンブルにしたら非常に面白いだろう。
藩の実権を握るエリートの家老と勘定役、紅屋の仕事仲間である白石屋と最上屋の2コンビなどは、漫才コンビよろしく、掛け合いで歌わせて、成り行きを見守る紅屋の番頭金七には旦那様と店を案ずる思いをソロで歌わせる。
芸者たちの登場する宴会シーンは女性アンサンブルの群舞と歌がいいだろう。
また意外なところで、オカマの浮浪者「釜六」にもソロを歌わせる見せ場があってもいいだろう。



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